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男子の本読み 007：村上虹郎

2017年7月22日更新

Soup.編集部員です。

読書をしている男性の姿は、
どうしてこんなに魅力的なのだろう。
その横顔、ページを繰る手。
ふとした瞬間こちらに向ける眼差し。

　高校三年の夏、燐（吉田円佳）は突然俺（村上虹郎）の前に現れた。でも俺はもう知っている。あいつがその小さな身体で、ひと夏を駆け抜け、夢を叶え、静かに消えて行くことを。これは俺と彼女の二度めの夏。言ってはならなかった一度めの夏のあのひと言を、無かったことにするための――。

––この映画の鍵は「二度人生を生きたら、運命は変わるのか」というところだと思うんですが、運命は信じる方ですか？

「はい。ただ、運命に抗うことは好きかもしれません。無駄な努力かもしれませんが、それが人間の感情ってものだと思うんです。知性って、邪魔なときもあるじゃないですか。バカなプライドがあったり人と争ったり。やっぱり僕も感情は抑えきれない時はあります。感情のとおりに生きたらどうなるかがわかっていくことが、大人になるって事だと思うんですけど……」

––映画の中の智の行動で「自分だったらこうするな」って思うことはありますか？

「僕は悲劇が待っているとしても、伝えなきゃいけないものは伝えると思います……でも、やっぱり好きな人が死ぬってなったらわからないかもしれません」

––文化祭のシーンなど、学生時代を思い出して「懐かしいなぁ」なんて思いましたか？

「もう終わったことなので言いますが、文化祭は恥ずかしいことをしたり、失敗したほうがいいです、絶対！汚点のない人間なんて面白くないじゃないですか。野球で例えると失点。失点があるうえで打ち返すっていうのがドラマだと思うんです。僕も以前は簡単な道を選んでしまうことも多かったのですが、俳優の仕事を始めてから変わりました。大変な道を選んだほうが面白いって。デビュー作の時『役を生きること』や『映画に関わること』の難しさとともに、楽しさを知ることもできたので」

シャツ￥25000、パンツ￥38000／ともにKATACH（I 03-5773-5090）、めがね￥43000 ／ Oliver Goldsmith（blincvase 03-3401-2835 ）　その他スタイリスト私物

photograph : Satoru Nakano / styling : Ryohei Matsuda（PERIMETRON） / hair&make : Go Takakusag（i VANITES） / text&edit : Hiroaki Kimura

profile

村上虹郎(むらかみにじろう)／ 1997年3月17日生まれ。特技：水泳・ギター・剣道（初段）・乗馬。2014年、映画『2つ目の窓』主演でデビューし、高崎映画祭最優秀新人男優賞を受賞。主な出演に、ドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『日曜劇場仰げば尊し』や、舞台『シブヤから遠く離れて』（主演）など。